2ntブログ

改訂二万枚る

誠に申し訳ありませんが、18歳未満の方は閲覧を御遠慮下さい
改訂二万枚る TOP  >  【SS】零の使淫魔 >  零の使淫魔

零の使淫魔

零の使淫魔
   ★★★
「あんた、今日から私の使い魔だから」
 抜けるような青空を背景に、俺の顔をまじまじと覗き込んでいる女の子が言った。黒いマントの下に、白いブラウス、グレーのプリーツスカートとニーソックスという装いの小さな身体を屈め、勝ち誇った目で見つめてくる。
 顔は、あどけなく可愛い。細身な身体の肉付きから察するに、年の頃は十二歳前後か。桃色がかったブロンドの長髪、透き通るような白い肌、くりくりとした鳶色の瞳、どう見ても外国人だが、話す言葉は日本語だ。しかし、俺にはその意味が判らなかった
「お前、誰だ? 使い魔って何だ?」
「口の利き方がなってないわね。まぁ、いいわ。私はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。今日からあんたのご主人様よ。覚えておきなさい」 
 そう言ってルイズは俺の目を見つめ、ゆっくりと顔を近付けてきた。
「なっ、何をする気だよっ?」
「いいから、じっとしてなさい」
 鈴のようによく通る上品な声でそう言うと、ルイズは更に近付いて微かに唇を突き出した。
「ちょ、ちょっと待てっ。まずは説明を――」
「ああもう! じっとしてなさいって言ったじゃない! んむっ……」
 喚きながらルイズは俺の頭を両手で掴むと、そのまま強引に唇を重ねてきた。突然のこととは言え、柔らかな感触と鼻腔を擽る甘い香りが心地いい。思わず俺は手を伸ばし、目の前の華奢な身体を抱き竦めようとした。が、途端にルイズは唇を離し、俺の手を強く振り払った。
「か、勘違いすんじゃないわよ。い、今のは契約の儀式なんだからね」
 そう言いながらも俯いて顔を真っ赤にしている。言葉とは裏腹に照れているらしい。
「契約の儀式だ? いきなりキスしておいて何を言ってんだ? どういうことだよ?」
「あんた、平民が貴族にそんな口を利いていいと思ってんの?」
「平民? 貴族? さっきから何を言ってんだよ? ちゃんと説明しろ」
「口の利き方がなってないって言ってんでしょ。まあ、仕方ないわね。説明してあげる」
ルイズは溜息をついて立ち上がり、うんざりとした目で俺を見下ろしてきた。
「ここはトリステイン魔法学院。私は二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエール、十六歳」
「十六歳?」
「あによ、文句あんの?」
 睨み付けてくるルイズを見て、俺は貧弱という言葉を飲み込んだ。
「……いや、続けてくれ」
「この召喚場で、あんたを使い魔として魔法召喚したのは私。よって、さっきも言ったけど、今日からあんたのご主人様よ。私の使い魔になれたことを光栄に思いなさい」
「魔法召喚って何だ?」
「はあ? あんた、魔法知らないの? どこの国から来たのよ? まさかロバ・アル・カリイエとか言うんじゃないでしょうね?」
「日本」
「何それ?」
「俺の住んでた国の名前だよっ! お前、俺のこと呼び出しておいて、そんなことも知らねえのかよっ!」
 俺がそう怒鳴ると、ルイズは腕を組んで思案顔になった。眉根を寄せて真剣に首を捻るその姿を見ていると、嫌な予感が芽生えてくる。
「おい、まさか、本当に知らねえのか?」
「うん。もしかしたら私、あんたのこと、別世界から召喚しちゃったのかも。ごく稀にそんなことがあるって聞いてはいたけど……」
「……別世界?」
 ルイズの返答を聞いて身体から力が抜けた。別世界から召喚という言葉が本当ならば、ここは俺にとっての別世界、つまり異世界ということになる。言われて周囲を見回すと、どうやら現在地は広場らしいが、地面のあちこちに記号や紋章のようなものが描かれている。近くに見える幾つかの建築物は単に異国風と言えないこともないが、どれも多かれ少なかれ違和感があるものばかりだ。こんな景色や建物には全く見覚えがない。
「……ルイズ」
「呼び捨てにしないで。これでも私はこの世界の貴族、ヴァリエール公爵家の三女よ。本来なら、あんたなんか口がきける身分じゃないんだから」
 険しい顔でルイズがそう言ってきたが、そんな話は二の次だ。
「俺は自分の世界から、この世界へと魔法で召喚されたのか?」
「だから、そう言ってるじゃない。はぁ、まさか別世界から、それも平民が召喚されちゃうなんて。もっとカッコいい使い魔が良かったのに。ドラゴンとか、グリフォンとか」
「ドラゴン? グリフォン? そんなの本当にいんのかよ?」
「いるわよ? 何で?」
 ルイズの素っ気無い答えに、俺は力なく笑った。冗談を言っているようには見えない。更に身体から力がぬけ、俺は地面に両手を着いた。
「……何で俺なんだ?」
「知らないわよ。あんたは不満かもしれないけど、こっちだってそうよ」
「だったら早く、元の世界に帰してくれよ」
「無理よ。召喚魔法である『サモン・サーヴァント』は呼び出すだけ。使い魔を元の場所や元いた世界に戻す魔法なんて存在しないもの」
「ふざけんなっ! 勝手に呼び出しておいて帰す方法がねえだとっ?」
「ないわね。不満なら自分で探してみたら?」
 俺は固まった。多少投げ遣りな口調だが、ルイズの言葉に偽りの響きはない。となれば、元の世界に戻る方法は本当にないか、もしくは知らないのだろう。後者ならばいずれは帰れるだろうが、前者だった場合には死ぬまでこの世界で暮らすことになる。右も左も判らない異世界で、取り敢えず頼れるのは目の前の少女一人ということか。
「……判った」
「なにが判ったの?」
 ルイズは再度しゃがみ込み、俺へと身体を寄せてきた。よく見ると、本当に可愛らしい。目は子猫みたいによく動き、生意気そうな眉が目の上の微妙なラインを走っている。そして凛とした雰囲気を持つ端正な顔立ち。掛け値なしの美少女だ。
「これは夢だな。そして夢の中なら、何をしても許される。そうだな?」
「へ? あんた、なに言ってんの?」
 俺はルイズに飛びかかった。小さな身体を押し倒し、そのまま上に圧し掛かる。
「ななっ、なにすんのよっ!」
「夢だと判れば、こっちも好きにさせて貰う。まずは裸にしねえとな」
 暴れるルイズを押さえつけ、ブラウスのボタンを外そうとした瞬間、したたかに股間を蹴り上げられ、俺は地面に蹲った。
「くうっ、お、お前……」
「よ、よよ、よくも平民の分際で、ききき、貴族の私にっ……」
 ルイズは恐ろしい形相になって立ち上がり、前屈みになった俺の正面へと歩み寄ると、両手で押さえていた股間を再び強く蹴り飛ばした。
「なんであんたみたいなのが使い魔なのよッ!」
   ★★★
 学院敷地内の寮にあるルイズの部屋へと引き立てられた俺は、この世界の簡単な説明を受けた。魔法を使える者は貴族として敬われ、それ以外の平民は貴族に隷属、貴族はそれぞれ各国の王に従っているという。若干の差異はあるものの、まるで中世の封建制度だ。別の大陸には共和制の国もあるらしいが、やはり平民は議会に参加できないとのこと。どうやら民主主義とか平等とかの概念は当世界には無いようだ。まあ、俺のいた世界でも言葉負けしていた概念なんだが。
「何で俺が平民なんだよ? 俺も魔法が使えたらどうなんだ? そしたら俺も貴族ってことになるんだろ?」
 一通り身分について確認したところで、俺はルイズに尋ねてみた。どちらか選べるなら俺だって貴族の方がいい。異世界に召喚された以上、未知なる能力を得ている可能性もある。
「別世界からの召喚は珍しいけど、幾つか事例があんの。私の周りには、そんな使い魔を持ってる人はいないけど。でも、魔力のある人間が使い魔として召喚されたなんて話、聞いたこともないわ。だから、別世界の人間だって判った後でも、あんたのことを平民って言ったのよ。もし違うのなら謝るわよ。で、あんた、魔法使えんの?」
「使い方を教えてくれ。やってみるから」
 説明を受けた後、俺は教えられたルーンという言葉を唱えながら、魔法を使う際の必須道具であるという杖を振ってみた。ほんの少しの魔力さえあれば、杖の先が光るという。
「……光んないじゃない」
「……ま、仕方ねえか。いいや、平民で。それで、使い魔ってのは何すんだ?」
 借り受けた杖をルイズに手渡しながら、俺はそう尋ねた。平民である以上、俺は貴族少女の使い魔ということになるらしい。
「ご主人様のために出来ること全部よ。あんたの場合は、そうね、火を吐くとか、飛ぶとか無理みたいだし……。取り敢えずは掃除、洗濯、その他雑用かしら」
「ちょっと待て。掃除。洗濯、雑用だと? 俺はそんなことの為に呼ばれたのか?」
「あによ、他になんか特技でもあんの?」
「いや、特に……」
「だったら掃除、洗濯、雑用、当然じゃないの。だいたい、誰があんたを養うと思ってんの? ここ誰の部屋? ちゃんと働かないと叩き出すわよ? 行く宛てでもあんの?」
「……判った。しばらくはお前の使い魔とやらになってやる」
 ルイズの居丈高な態度と口調に対して、俺は不満の言葉を飲み込んだ。確かに今は世話になるしかない。
「ほんと、口の利き方がなってないわね。まあ、いいわ。さてと、魔力を使ったせいか、眠くなっちゃった。そうそう、あんたは今日からそこで寝なさい」
 ルイズは欠伸をしながら、さも当然のように床を指差した。
「犬や猫じゃねえんだぞ」
「しかたないでしょ。ベッドは一つしかないんだから」
 そう言いながら、ルイズは面倒臭そうに毛布を一枚投げて寄こした。次いでブラウスのボタンに手を掛けて脱ぎ捨て、スカートも下ろしてキャミソール姿になっていく。これには俺も慌てた。
「なっ、何やってんだよっ!」
「あによ、一々うるさいわね。寝るから着替えるに決まってんじゃない」
 純白のネグリジェを手に、きょとんとした顔でルイズが言い返してくる。
「お前、男の前で着替えても平気なのか? 恥ずかしくはねえのかよ?」
 異世界だけあって倫理観が違うのだろうか。だとしたら、対応を間違えた先刻の俺は蹴られ損だ。今後の為にも確認しておくべきだろう。
「はあ? 男? 誰が? 使い魔に見られたって何とも思わないわ」
「それって本当に犬や猫の扱いじゃねえか。だったらさっきは何で蹴ったんだよ?」
「平民の分際で気安く私に触れるからよ。それに、発情した使い魔を躾けるのは、飼い主の義務じゃない」
 今すぐこの場で犯してやろうかとも思ったが、何せ相手は魔法少女だ。迂闊に手を出すと、どんな仕打ちを受けるか判らない。俺は黙って毛布を掴むと、頭から被って床に横になった。
「じゃあ、これ。明日になったら洗濯しといて」
 言葉と同時に、ばさっ、ぱさっと何かが近くに飛んでくる音がした。毛布から顔を出して確認すると、レースのついたキャミソールとパンツが俺のすぐ傍の床に散らばっている。手を伸ばして触れてみると、まだ生温かい。どうやら就寝時には下着を着けない主義らしいが、男として更に否定されたようで、屈辱感が込み上げてくる。が、ここはじっと我慢だ。
 俺は再び毛布の中へと潜り込み、歯を食い縛ってやるせなさに耐えた。それでもいつしか自然に、手にした下着の甘い臭いを嗅いでいた。
   ★★★
 眠りから覚めて初めて目にしたものは、昨晩ルイズが投げて寄こした下着だった。未だ手に掴んでいたそれを顔の前に寄せ、改めて臭いを嗅いでみる。昨晩よりは多少薄れたものの、甘く、いい香りだ。よく見ると股布の部分に小さな染みがある。小水の染みだろうかと思い、恐る恐る鼻を近づけてみる。が、アンモニア臭はしない。自慰をしてこの部分に精液をぶち撒けたいとも思ったが、俺は頭を振ってその考えを遠ざけた。まだ早い。現状でそんな行為が発覚したら、この部屋から叩き出されてしまうだろう。そうなったら俺に他の行き場所はなく、異世界で野垂れ死ぬということになりかねない。
 無論、いつかはルイズを犯してやる。華奢な身体を犯しまくり、口も前後の穴も精液漬けにしてやる。陰茎の臭いを嗅いだだけで口からだらしなく涎を垂らし、自分から俺に跨ってくるような性奴隷に調教してやる。その為ならしばらくは使い魔の役を演じてやってもいい。それが昨夜、就寝前に考えた俺の計画だった。
 視線を移すと、ルイズはベッドの中で寝息を立てていた。毛布を剥いで立ち上がり、ベッド脇へと近付いてみる。ルイズは深く寝入っているのか、全く反応を見せない。それでも矢張りその寝顔は、実際の年齢よりも幼く感じられる。口を開くと貴族だご主人様だとうるさい高飛車な小娘だが、寝ている分には狂おしくなるほどの愛らしさだ。
 その無垢な寝姿を見ている内に、先刻の自制は霞のように掻き消え、新たな欲望が芽生えてきた。俺は毛布の上からルイズの肩をそっと揺すり、目覚めの気配がないことを確認すると、自らのジーンズとトランクスを脱ぎ捨てた。面倒なのでパーカーも脱ぎ、Tシャツ一枚を纏ったまま、一物を右手で扱きながらルイズの鼻先に亀頭を押し付けてやる。
「すぅ……すぅ……く……ふぅ……んっ……ふん……んっ……ふぅん……」
 昨晩風呂に入っていないために臭うのか、ルイズは眉間に皺を寄せたが、顔を背けることはなく、小さな鼻をひくつかせている。そんな小動物のような可愛らしい素振りを前にして、程なく陰茎は完全に勃起し、徐々に昂ぶりが近付いてきた。俺は行為を続けながら、亀頭の先端を濡らす先走り汁を自身の指先で拭い、その指をルイズの口の中へそっと挿し入れてみた。目が覚めていたら怒鳴られるどころでは済まないだろうが、それでも特に反応はない。この様子なら大丈夫だろう。慎重にルイズの舌へと我慢汁を塗りつけ、再び汁を拭っては口腔へと塗り込んでいく。そうしながら鼻の頭や頬に亀頭を擦り付けていると、流石に射精の限界が近くなった。とは言え、考えてみればこの部屋には後処理に使うティッシュがない。いや、あるのかもしれないが、どこにあるのかが判らない。
 俺は逡巡しながらも、結局は洗濯する予定のルイズの下着、ショーツの股布の部分に精液を放った。貴族の少女の下着にそんなことをしているという背徳感が、予想以上に深い快楽を与えてくれる。全て出し終えると、精液塗れのショーツをキャミソールで包み、その上から激しく揉み解す。これでこの二つの下着にはたっぷりと俺の淫臭が染み付く筈だ。たとえ洗濯して臭いが薄れようとも、染み込んだ体液が乾いて布地が硬くなろうとも、この先何度も何度も同じことを繰り返してやる。そんな下着をつけたルイズの姿を想像して、俺は恍惚となった。
   ★★★
 出すものを出して着衣を整え、精液の染み込んだ下着をパーカーのポケットに隠すと、俺は従順な使い魔として寝ているルイズを起こすことにした。小さな肩を揺さぶり、声を掛けてやる。
「おい、起きろ。朝だぞ」
「ふえ? え? あんた誰?」
「お前が呼び出したんたろうが。寝惚けてんのか?」
「……ああ、そうだっけ。くふぁ~あ、ん? あれ?」
 大きく欠伸をした後、ルイズは不思議そうな顔をして上半身を起こした。
「……なんか口の中、苦くて生臭い」
「お前、口臭持ちか? 早く治した方がいいぞ?」
 そう言ってやるとルイズは険しい顔で俺を睨み付け、不服そうに鼻を鳴らした。が、やがてぼんやりとした表情になって毛布を剥ぎ、もそもそとネグリジェを脱ぎ始めた。薄い胸、小さく硬そうな尻、そして無毛の秘所。一六歳にしては貧弱過ぎるが、少女の裸身が徐々に露になっていくのはなかなかの眺めだ。
「下着取って。そこのクローゼットの、一番下の引き出しに入ってるから」
 言われた通りに引き出しを開けると、中には高価そうな下着が大量に入っていた。俺は中からキャミソールとショーツを適当に引っ張り出し、ルイズに見えないような位置でポケットから先刻の汚れた下着を取り出して広げ、未だ粘りつく精液の部分を真新しいパンツの股布とキャミソールの胸の部分に素早く塗り込んだ。何度もその箇所を擦り、生乾きになったのを確認してからルイズへと手渡してやる。
「なにモタモタしてんのよ、グズね。ん? なんかこの下着、湿ってない? それに変な臭いがする」
「生乾きのまま仕舞い込んどいたんじゃねえのか? それにお前の下着だろ? 変な臭いがするとしたら、それはお前の体臭だろうが」
再びルイズは俺を睨んできたが、寝起きのせいか、怒鳴るほどの気力はないようだ。
「……あんたの躾け方、色々と考える必要がありそうね」
 呟くようにそう言うと、ふて腐れた顔付きで下着を着け、次いで気だるそうにベッドの縁へと座り込み、俺に向かって生足を伸ばしてきた。
「んだよ? まさか舐めろとか言うんじゃねえだろな?」
「く・つ・し・た。早く履かせなさい。今の引き出しの上の段。一番上にはブラウスとスカートも入ってるから。のんびりしてたら授業に遅れちゃうじゃないの」
「お前、俺を放って授業に出る気なのかよ?」
「なに言ってんの? あんたも一緒に来んのよ」
「は?」
「あんたは使い魔なんだから、ご主人様に同行するのが当たり前じゃないの」
   ★★★
 着替えを終えたルイズと共に部屋から廊下へと出ると、並びのドアの一つが開き、中から赤い髪の少女が姿を見せた。ルイズより背が高く、彫りが深い顔に、褐色の肌。一番上と二番目のブラウスのボタンを外し、豊満な胸元を艶かしく覗かせている。むせ返るような色気だ。
「おはよう、キュルケ」
 ルイズは赤髪の少女を見て顔をしかめると、嫌悪感の満ちた口調で挨拶をした。
「おはよう、ルイズ。もう噂になってるわよ? あなたの使い魔ってそれでしょ? 人間で、平民なんですってね? まあ珍しいっ!」
 キュルケと呼ばれた少女は俺を指差して問い掛け、何度も嫌そうに頷くルイズと見比べて笑った。どう見ても嘲りの笑みだ。俺は苛立ちを抑えてキュルケの顔、胸、腰、足と順番に眺めていった。平民で悪かったな。そう言うからにはお前も貴族なんだろうが、いつかは俺専用の精液便所にしてやる。褐色の肌が見えなくなるまで、白濁液で染め上げてやる。
「召喚魔法で平民を喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。流石はゼロのルイズ。そうそう、あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。平民じゃなくて残念なんだけどね。フレイムっ!」
 勝ち誇った声でキュルケが自室に向かって呼び掛けると、部屋からのっそりと赤色の大トカゲが現れた。大きさは人間の大人程もあろうか。爬虫類特有の無機質な目だけでなく、燃え盛る炎の尻尾とチロチロとほとばしる火炎の舌までもが恐ろしい。むんとした熱気が立ち込める中、俺は慌てて後退った。
「おっほっほっ! 心配しなくても平気よ、あたしが命令しない限り襲ったりしないから。見なさい、火トカゲよっ! サラマンダーよっ! 『火』の属性を持つあたしにぴったりだと思わない? ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく第一級のブランドものよ? 好事家に見せたら値段なんかとてもつかないわ」
 キュルケは得意げに胸を張った。ルイズも負けじと胸を張り返すが、悲しいかな、ボリュームが違いすぎる。それを見てキュルケはにっこりと笑った。余裕の態度だった。
「おほほほほっ、あなたってば、どこを取っても貧弱ね。じゃあ、お先に失礼」
 そう言ってキュルケは炎のような赤髪をかき上げ、颯爽と去って行った。フレイムと呼ばれたサラマンダーが大柄な体に似合わない可愛らしい動きで、その後をちょこちょこと追っていく。
「くやしーっ! ああもうっ! なんであのバカ女の使い魔がサラマンダーで、私があんたなのよっ!」
 キュルケが廊下の先を曲がって姿を消した途端、ルイズは両の拳を握り締めて喚き始めた。使い魔としては慰めてやった方がいいのかもしれないが、事が俺自身にも関わっている為、藪蛇になる可能性も否定できない。場合によってはまた陰茎を蹴られる恐れもある。ここはさり気なく話を逸らした方がいいだろう。
「あいつ、ゼロのルイズって言ってたけど、ゼロって何だ?」
「……知らなくていいことよ」
 俺の問い掛けに、ルイズは不機嫌そうに顔を背けた。
「もしかして胸のサイズとかか?」
 俺はご主人様の胸を見つめて言った。キュルケと比べれば、そこは確かにぺったんこだ。
「なな、なに見てんのよッ!」
 結局、叫ぶルイズに股間を強かに蹴り上げられ、俺はその場に蹲ることとなった。
  ★★★
「は、腹が減った……」
 その日の午後、俺は空腹を抱えて廊下の壁に手を付いていた。召喚されてからまだ一度も食事を取っていない。というか、取らせてもらっていない。
 ――キュルケが口にしたゼロの意味を俺が知ったのは、当のキュルケと別れてからすぐのことだった。ルイズがトイレに行っている隙に、適当な生徒を捕まえて尋ねてみたのだ。疑問は呆気なく解け、俺はここぞとばかりにルイズを皮肉ってやることにした。
「ゼロのルイズか、なるほど、上手い通り名だな。魔法の成功率ほぼゼロ。それでも貴族様でいらっしゃる。よく俺を召喚とか出来たもんだ。偶然って恐ろしいよな」
「こ、この使い魔ったら、ごご、ご主人様に、ななな、なんてこと言うのかしらっ」
 黙っていれば可愛い顔を、ルイズは怒りで歪ませた。
「お前が教えてくれたんだろ? 魔法を使えるのが貴族で、それ以外は平民だって。お前、本当は平民なんじゃねえの?」
「今日は朝から一日ご飯抜きッ! これ絶対ッ! 例外なしッ!」
 ――故にこの有様だ。余程ゼロと呼ばれることを気にしているのだろう。ご主人様に同行、と自分から言い出したにも関わらず、一日その場に立っていろとまで指示してきた。だが、それだけ激しいコンプレックスを抱えているのだということは充分に理解できた。その点をどうにかして上手く利用し、今後、互いの立場を逆転させることは出来ないものだろうか。
「あの、大丈夫ですか?」
 一頻り考え込んでいると、突然、背後からそう声を掛けられた。振り向くと、メイドの格好をした素朴な雰囲気の少女が、大きな銀のトレイを抱えたまま心配そうに俺を見つめている。顔付きから察するに俺と大して程年齢は変わらないようだが、キュルケ程ではないにしろ胸部は豊かで、カチューシャで纏めた黒髪と顔のそばかすが可愛らしい。
「あれ? あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう平民の……」
 どれだけ噂になってんだよ、と呆れつつ、俺は目の前のコスプレ少女に尋ねてみた。
「君も貴族?」
「いいえ、私は違います。あなたと同じ平民です。シエスタっていいます。貴族の方々をお世話するために、この学院付きのメイドとしてご奉公させて頂いています」
 穏やかにそう言って、シエスタはにっこりと笑った。この世界に来てから初めて見た屈託のない笑顔だ。どうやら敵ではないらしい。
「服着てるだけじゃなく、本物のメイドさんってことか?」
「はい、そうです。それで、失礼ながら先ほどの悲しそうな呟き声を聞いてしまったんですけれど、お腹が空いていらっしゃるんですよね?」
 シエスタの真摯な問いかけに、俺は無言で頷いた。
「それでしたら、どうぞ、こちらにいらして下さい」
 そう言うと、シエスタは俺を促して歩き出した。
  ★★★
 シエスタに案内されたのは、食堂の裏にある厨房だった。大きな鍋が幾つも並ぶ中、コックやメイドたちが忙しげに立ち回っている。どうやら夕食の仕込みをしているらしい。
「少々お待ちくださいね?」
 片隅に置かれたテーブル前の椅子に俺を座らせると、シエスタはそう告げて厨房奥の扉の向こうへと消えた。何か食べ物を用意してくれるのならば有り難い。この際、贅沢は言わない。パンと水だけでもいい。少しでも体力が回復したら、この仕打ちに対する正当な復讐として、睡眠中のルイズに再び悪戯を仕掛けてやる。
 そんなことを思いながら周囲の視線に居心地悪く肩を竦めていると、程なくシエスタが戻ってきた。
「賄い食ですけれど、もし良かったら召し上がって下さい」
 そう言ってシエスタは右手で持っていたバスケットをテーブルに置き、次いで左手で支えているトレイの上から、一枚の深皿と木製のスプーン、木のコップとを俺の前に並べてくれた。バスケットの中にはパンが三つほど、コップの中には牛乳らしき液体が入っており、皿の中では薄茶色のシチューが湯気を立てている。見た目は元の世界の食物と何ら変わりはない。
「ありがとう、頂くよ」
 その心遣いに感謝しながら、俺はスプーンでシチューを掬い、恐る恐る一口食べてみた。何しろこの世界の物を食すのは初めてだ。元は異世界の住人である俺と根本的な味覚が違っていてもおかしくはない。だが、それはお世辞でなく美味かった。今までに食べたシチューの中で最高の味と言っていい。コクのあるシチュー自体もさることながら、程よい大きさに切られた肉と野菜と煮込み加減が絶妙で、ここが元の世界であったならば、シェフを呼べと言いたくなるところだ。俺は夢中になってスプーンを口に運んだ。
「お代わりもありますから、どうぞごゆっくり。それよりお食事、取らせて貰えなかったんですか?」
「はぐっ、んぐっ、ぷはぁ。小馬鹿にしたら、朝から一日食事抜きだと言いやがった。何が貴族だ、無能なくせに威張りやがって」
「まあ、そんなこと言ったら大変ですわ」
 シエスタは唖然とした顔をしている。他愛ない陰口一つに驚く程、身分制度がこの世界に浸透しているという証拠だろう。しかし、今一つ解せない。この世界には身分違いの恋愛など存在しないのだろうか。もしも貴族と平民が結婚し、魔力のない子供が生まれたとしたら、その子は貴族と平民のどちらに属せばいいのだろう。ルイズは少しは魔法が使えるらしいから貴族側だとしても、時には全く使えない貴族が現れたりはしないのか。また、年齢によってその能力が衰えたりはしないのだろうか。
 考え込みながらコップの中身を飲み、シチューを食べ、パンに齧り付いていく。やがて出された物をすっかり平らげると、俺はシエスタに向かって深々と頭を下げた。
「御馳走様。凄く美味かったよ」
「もういいんですか? お代わりもありますよ? 遠慮なんていりませんから」
「いや、もう充分だ。本当に助かった」
「なら、良かったです。今度からお腹が空いた時は、いつでもいらして下さいね?」
「ありがとう。お礼に何か手伝えることないかな?」
 ルイズとキュルケは既に性欲処理の奴隷候補だが、シエスタならば恋愛対象として考えてもいい。この世界に来てから初めて優しくされたということもあり、俺は手助けがしたかった。皿だろうが鍋だろうが幾らでも洗ってやる。床掃除でもいい。
「いいんですよ、お礼なんて……」
「何でもいいからさせてくれ。俺の気が済まない」
「えっと、それでしたら、午後のデザートを配るのを手伝って下さいますか?」
 申し訳なさそうに問い掛けてきたシエスタを見つめ、俺は大きく頷いた。
   ★★★
 シエスタから聞いたところによると、この学院の生徒も教師も全員揃って貴族とのことだった。平民は厨房にいるコックやメイドたちと、学院の事務所で働く数名、そして俺のみだと言う。シエスタも貴族には色々と含むところがある様子で、さり気なくその訳を尋ねてみると、時に身分の違いを笠に着た貴族に尻を撫でられたりするらしい。それでも無理矢理犯されるまでには至らず、軽く触られるだけで済んでいるのは、シエスタの直属の上司である厨房の責任者が学院長と昵懇の仲であり、あまり無体なことをすると退学だけでは済まなくなるからとのことだ。だが、それでも学院内が平民にとって無法地帯であるということには変わりない。
 貴族に対しての新たな憤りを抱え込みながら食堂で生徒たちにケーキを配っていると、中に一人、薔薇を手にして男子生徒たちと談笑している気障野郎がいた。ギーシュという名前らしい。
「なあ、ギーシュ。お前、今は誰と付き合っているんだよ? 恋人は誰なんだ?」
「付き合う? 僕にそのような特定の女性はいないのだよ。薔薇は多くの人々を楽しませる為にに咲くのだからね」
 確かに顔は美形だが、自分を薔薇に例えるなんて、見ているこっちが恥ずかしくなる程のナルシスト振りだ。俺はこういう奴が生理的に嫌いだ。反射的に殴り飛ばしたくなる。それでも何とか我慢してケーキを目の前の皿に置いてやった途端、ギーシュは俺を見つめ、馬鹿にしたように鼻を鳴らしてきた。
「ふん、君は確か、あのゼロのルイズが呼び出した平民だったな?」
「話し掛けんな低能。一生薔薇でもしゃぶってろ、死ね」
 俺が思わず本音を口にすると、ギーシュは顔を歪ませた。
「どうやら君は貴族に対する口の利き方を知らないようだな?」
「息が臭えから俺の前で喋んな。黙ってケーキ詰め込んどけ」
 つい言ってしまったとはいえ、今更本心を隠す気など毛頭無い。嘲りを込めてそう言い放ってやると、ギーシュは悔しそうに両の拳を握り締め、ゆっくりと席を立った。
「そこまで言うからには覚悟は出来ているんだろうね? 決闘だ」
「あ? 決闘ってことは、平民の俺が貴族様のお前を殴ってもいいってことだよな?」
「殴れるものならね。ヴェストリの広場で待っている。準備をしてから来たまえ」
 そう言い残してギーシュは食堂を出て行った。ギーシュの友人たちも下卑た笑みを浮かべて後を追っていく。その背中を見ながら幾分かすっきりした気分でいると、ルイズが俺の元へと駆け寄ってきた。
「あんたっ! 何してんのよっ! 見てたんだからねっ! 何を勝手に決闘なんか約束してんのよっ!」
「シエスタ、ごめん。手伝うって言い出しといて何なんだけど、俺の残りの配給分、任せてもいいかな?」
 俺はルイズの言葉を無視してシエスタへと歩み寄り、軽く頭を下げた。シエスタの顔色は真っ青だ。事の成り行きを見守っていたというよりも、恐怖に足を竦ませていたのだろう。それでも最早どうにもならないと思ったのか、俺の問い掛けにぎこちなく頷き返してくれた。
「怪我したくなかったら謝ってきなさい。今なら許してくれるかもしれないわ」
「ヴェストリの広場ってどこだ?」
「謝ってきなさいって言ってんのよっ! ご主人様の言葉には従いなさいよっ!」
「ヴェストリの広場ってどこだよ?」
「こっちだ、平民」
 尚も決闘を止めさせようとするルイズに繰り返し俺が尋ねると、事態を見ていた様子の男子生徒の一人が、顎をしゃくって食堂の出口へと歩き出した。もちろん、俺はその後を追った。
   ★★★
「さてと、では始めるとするか」
 広場に着いた俺を見て余裕の笑みを浮かべると、ギーシュは胸ポケットに差していた薔薇の花を手に取り、優雅な動作でゆっくりと振った。すると、宙に舞った一枚の花弁が瞬く間に甲冑を着た女戦士へと変わり、着地するなり俺に向かって拳を構えてきた。恐らく魔法で作り出した人形だろうが、人間とほぼ同じ大きさであり、自動制御されているようだ。
「これは何だ?」
「僕のゴーレムさ。美しいだろ? 名をワルキューレと言う。彼女が君の決闘相手だ」
「ふざけんなっ。俺の相手はお前だろうがっ」
「メイジと呼ばれる魔法使いが魔法で戦う、当たり前のことじゃないか。まあ、君がそれ程までに望むのなら、僕も一緒にお相手しよう。こちらは二人になってしまうが、君の言い出したことだ、よもや文句はあるまいね?」
 そう言いながらギーシュは再び薔薇を振った。今度は一枚の花弁が一本の剣に変わり、俺の足元へと落ちてきた。どうやら花弁一枚に付き一個の物体に変えられるらしい。
「君、不公平だというのなら、その剣を取りたまえ。怖いのであれば、一言こう言いたまえ。ごめんなさい、とな。それと土下座でもしてもらおうか。それで手打ちにしよう」
「……参考までに教えてくれ。残りの花弁は何枚だ?」
「ふん、そんなことを知ってどうするね? まあいい、教えてやろう。この薔薇のように八重咲きと呼ばれる状態のものであれば、総じて二十枚以上の花弁を持っているものだ。一重咲きは五枚以上、半八重咲きは――」
「ああ、もういい。質問した俺が馬鹿だった」
「どういう意味だね?」
「下らねえ説明なんか誰も頼んでねえだろが。俺は残りは何枚だって聞いたんだぞ? ほんとに低脳だな、お前。死んだ方が周りの人間は喜ぶんじゃねえか?」
 言葉でわざと相手の苛立ちを募らせながら、俺は身を屈めて剣を取り、何度か振って握りの具合を確かめた。予想より重いが、これなら振り回せるだろう。後はタイミングの問題だ。
「君は本当に下劣な言葉を――」
 予想通り文句を言ってきたのに合わせ、俺はギーシュに向かって駆け出した。喧嘩では、覚悟の有無と先手を取れるかどうかが勝敗に大きく関わってくる。途端にゴーレムが襲ってきたが、先刻の動きから推測していた通り、動作はそれほど素早くない。無視して更に目標地点へと突っ込むと、ギーシュは慌てて薔薇を振った。新たに三体のゴーレムが現れたが、俺はそれも無視して脇を擦り抜け、振り上げた剣を囮に、身構えたギーシュに向かって思い切り蹴りを放った。
「ごぶおぼっ!」
 腹部に衝撃を受けたギーシュは勢いよく吹っ飛び、地面へと転がった。俺は倒れたままのギーシュに駆け寄ると、剣の刃を相手の首筋に軽く押し当ててやった。
「この場で死にたくなかったら、今後は俺の指示に従ってもらおうか? 了承するのなら参ったと言え。それともまだ続けるか?」
 そうしている間にもゴーレムが襲ってくるかと思い、横目で背後の様子を探ってみたが、当の人形たちはその場に立ち尽くしたまま動かない。どうも主人の危機を前に手を出しかねている様子で、単に自律しているだけではないようだ。感情に似たものでも持っているのかもしれないが、俺にとっては都合がいい。
「言っとくが、平民の俺には命以外に失う物なんて何もねえかんな。先々捕まろうが、死のうが関係ねえ。お前の態度によっては、冗談抜きでほんとに殺すぞ?」
 怯える瞳を殺意を込めた視線で射抜きながら、殊更低い声で問い掛けると、ギーシュは完全に戦意を喪失したらしく、震える声で呟いた。
「ま、参った」
   ★★★
 決闘の後、俺はギーシュの部屋へと押し掛け、今後は服従するよう改めて約束させた。こういう場合、相手が恐怖を感じている内に取れるだけのものを取っておくのが俺の主義だ。とは言え、今のところ無茶な要求をするつもりはない。
 だが、話の途中、男子生徒たちが時折シスエタの尻を触っていることを伝え、そういう場面を見掛けたらその都度報告しろと指示すると、ギーシュは首を横に振ってきた。俺に逆らって仲間を庇うつもりかと思ったが、当人の口から出てきたのは意外な申し出だった。
「わざわざ君に報告するまでもない。そういう恥知らずな生徒は僕が教育しておこう」
「この場ではそう言っといて、黙認するつもりじゃねえだろな?」
「僕は貴族だ、約束は守る。君に従うのは不本意だが、約束した以上はそれも守るつもりだ。況してや相手が女性ならば、たとえ平民であろうと守ってやるのが紳士として当然の行いだ。そんなことで嘘を吐く必要はない。しかし、僕一人だけでは見落とすこともあるだろう。予め男子生徒たちを集めて、下劣な行いをしないように注意を与えておく必要があるな」
 ギーシュは真面目な顔でそう言い、同意を求めるように俺に視線を向けてきた。気障で自己愛の強い低脳でも、どうやら貴族としての矜持はちゃんと持っているらしい。
「けど、お前、言ってることとやってることが違うんじゃねえか? 食堂で俺に声を掛けてきた時は、かなり横柄な態度だったぞ?」
「仕方あるまい。初対面の平民に一々愛想を振り撒く程、僕の自尊心は安くはないのだよ。だが、まあ、たとえ平民でも君がもし女性だったら、また対応が違っていたろうがね」
 その返答に俺は苦笑した。が、女好きの点はともかく、ここまで言う以上は信用しても構わないだろう。もし何か企んでいたり、実際に黙認するようなことがあれば、顔の形が変形するぐらいに殴ってやればいいだけの話だ。
「なら、お前に任せる。シエスタだけでなく、他のメイドや平民たちにも気を配ってやってくれ。お前の出来る範囲で構わねえから」
 俺がそう言うと、ギーシュは腕を組んで満足げに頷いた。
「ふむ、相手が男であっても、頼られるというのは気分がいいものだな」
「じゃあ、もう少し頼ってやるよ。ルイズを懲らしめるのに何かいい方法ねえか?」
「なに? それは聞き捨てならないぞ? 君は自分の主人に反逆するつもりなのか?」
「別に反逆とまでは言わねえけどよ。股間蹴られたりとか、飯抜きとか、結構な仕打ちをされたからな。半分ぐらいは返してやりてえ」
 股間を蹴られた、と言う言葉が効いたのだろう。途端にギーシュは哀れむような表情になった。その眼差しには腹が立つが、ここは不問にしておくべきだろう。
「それで君は、ルイズの、その、あそこを蹴るつもりなのかね?」
「別に蹴らねえよ、後が怖いしな。もっと簡単な、顔に落書きする程度の悪戯が出来りゃいいんだ。何か方法ねえか?」
「それを聞いて安心したよ。興味はないが、ルイズもあれで一応は女性だからね。ならば、これを使うといい」
 そう言いながらギーシュは自分の制服のポケットを探り、小さな瓶を取り出した。
   ★★★
「おかえり。あんた、結構強いのね。場慣れしてるって感じ?」
 ギーシュの部屋からルイズの自室へ帰ると、部屋の主はそう言って俺を出迎えてくれた。決闘のことで怒られるのを覚悟していたのだが、そんな様子はないどころか、寧ろ嬉しそうな素振りで俺の手を取ってくる。その態度の豹変振りに呆れながらも、俺はルイズに尋ねてみた。
「見てたのか?」
「もちろん見てたわよ、周りの観客に混じってね。危なくなったら代わりに謝ってあげようと思ってたんだけど、心配して損しちゃったわ。その分ちゃんと働きなさいよね?」
「怒ってねえのかよ?」
「そりゃ怒ってるわよ。ご主人様の言い付けも聞かず、食堂の手伝いをしたり、勝手に決闘を受けちゃったりしたんだから。でも、勝ったんだからいいわ。これで私の使い魔が多少は使えるってことが噂になるだろうし。そうすればきっと皆、私のことも見直すわ」
 その言葉を聞いて俺は納得した。代わりに謝ることを考えていたと言うのが事実なら、多少は心配もしてくれたのだろうが、結局のところ、この高飛車貴族娘は俺の勝利を自分の手柄としたいらしい。別にルイズの立場を押し上げる為に戦った訳ではないのだが。
「それにしても、よく勝てたわね? あんた、元の世界で何してたの?」
 ルイズの問い掛けに答えようとして、俺は愕然とした。どんなに考えても、自分が以前に何をしていたのかが思い出せない。それでも額に手を当てて記憶を探っていると、今度は頭が痛くなってきた。過去を思い返そうとすればする程、その痛みは強くなっていく。やがて俺は激痛に耐えかね、両手で頭を抱え込んだままその場に屈み込んだ。
「ちょっ、どうしたのよっ?」
「……思い……出せない」
「えっ? ちょっとっ、大丈夫っ?」
「くっ……思い出そうと……すると……頭が……割れるように……痛んで……くうっ……」
「だったら思い出さなくっていいからっ、もう考えるの止しなさいよっ」
 そう言われて試しに回想を止めてみると、嘘のように痛みが消えた。まるで魔法だ。
「……お前、俺に何か変な魔法を掛けたか?」
 再び立ち上がってそう問い掛けると、ルイズは不思議そうに首を傾げた。
「別に何もしてないわよ? あんたを呼び出しただけ」
 ルイズの言葉を俺は素直に信じた。考えてみればゼロと呼ばれるルイズが、そうそう魔法を成功させられる訳もない。とすれば、別の誰かだろうか。もう一度俺は過去を思い出そうとして、この世界に来てからの記憶ははっきりしていることに気付いた。曖昧なのはそれ以前のことだ。自分の名前や年齢、考え方や得た知識、元の世界の文化などは思い出せるが、俺自身がどんな生活を送っていたのかが全く判らない。この世界に来てから誰かに魔法を直接掛けられた覚えもなく、だとすると、これは断片的な記憶喪失なのだろうか。
「……悪い、名前や年は覚えてっけど、何してたのかは忘れちまってるみてえだ」
「もういいわよ。無理して思い出そうとしなくていいから。そんなことより、もう痛いの平気なの? 大丈夫?」
「ああ、もう平気だ」
 俺がそう答えると、ルイズは安堵した表情になって深く息を吐いた。
「まったく、何度も心配させないでよね? でも、治ったのなら良かったわ。そろそろ夕食の時間だし、食事抜きは特別に取り下げてあげるから、あんたも一緒に食堂に来なさい」
   ★★★
 翌日の早朝、窓から差し込む陽の光を受けて俺は目を覚ました。
 見ると、ルイズは柔らかい寝息を立てている。桃色がかったブロンドの髪が微かに揺れ、長い睫が時折ピクンと動く。生意気で高飛車で我侭だが、相変わらず寝顔だけは可愛い。
 その寝姿を楽しみながら、俺はパーカーのポケットからルイズの下着を取り出した。昨晩着替える時に渡された物は床の上に畳んである。俺が手にしているのは、精液を拭き取った一昨日の物だ。所々乾いて硬くなってはいるが、広げてみると中はまだ湿っている。俺はそれをルイズの顔に被せて強引に臭いを嗅がせながら、ズボンとトランクスを下ろして自分の陰茎を取り出し、昨日と同じように扱き始めた。
 昨晩眠りに就く前に、ルイズにはギーシュから渡された睡眠薬を騙して飲ませてある。まさかギーシュもこんなことに使うとは予想もしていなかっただろうが、俺は最初からそのつもりでいた。本当は昨晩のうちに色々と楽しむつもりでいたのだが、疲れていたのか、薬の効き目を確かめる前に俺自身が眠ってしまったのだ。だが、それでも問題はない。薬の効果時間についてはギーシュから説明を受け、まだ間があることが判っている。薬自体もまだ手元に残っており、この先も利用させてもらうつもりだ。
 ルイズは精液の臭いを嗅がされて時々苦しそうに呻いているが、薬の効果が強力なのか、目覚める気配はないようだ。その呻き声とネグリジェの端から覗く肌、そしてほのかに甘い体臭が、いとも容易く陰茎に活力を注いでいく。程々に一物が勃起したところで俺はルイズに被せた下着をずらし、桜色の唇に亀頭を強く押し付けてやった。昨日風呂に入ってないだけに臭うだろうが、何しろこれは仕返しだ。一々同情などしてはいられない。夕食を与えてくれたことや頭痛を心配してくれたことには感謝するが、それとこれとは話が別だ。
 何度も何度も唇の間を亀頭でなぞってやると、ルイズは徐々に口を開いてきた。俺はそこに陰茎を差し込み、口腔の感触を充分に楽しんでから、ネグリジェを捲り上げて愛らしい両の乳首と腋の下に精液を放ってやった。次いで再びルイズの口を開けさせ、一物の汚れをその中で拭っていく。
 陰茎の掃除が終わって一息ついた後は、更なる陵辱の始まりだ。ネグリジェを剥ぎ取り、顔に被せていた下着を使って、華奢な身体に精液を塗り込んでいく。顔、首筋、脇、胸、腹、両手両足、そしてまだ毛の生えていない陰部。ここは特に念入りに、ぴったりと合わさった秘裂を指で押し広げ、中のピンク色の柔肉や皮を被った小さな突起、そして尻穴へと、粘着度の高い液を優しく優しく塗り付ける。身体付きは幼くとも、十六歳という年齢を考えると初潮は迎えている筈だが、たとえ妊娠しても構わない。むしろ生意気な貴族の娘を孕ませ、その上で調教するという方が俺の趣味に合う。
 ふと見ると、ルイズの秘裂は塗り込んだ俺の精液以上に、透明な愛液で濡れていた。表情を確認してみると、顔全体が紅潮しており、眉を僅かに引き攣らせている。息も睡眠中にしては荒く、鼻の穴も少しだけ拡がっている。眠っていながらも、粘液を刷り込まれて感じているのだろう。その様子を間近に見て、陰茎に再び力が漲ってきた。睡眠薬の効果は昼頃まで。今日は休日で時間はまだ充分にある。俺は再び一物を扱きながら、空いた手をルイズの股間へと伸ばし、指先で突起をそっと撫で上げてやった。何度もそうしていると、半分ほど皮が剥けて勃起したクリトリスが顔を覗かせてくる。更に他の指で秘裂を軽く擦ってやると、嬉しいことにルイズは小さな声を漏らし始めた。
「あ…っ……あぅ……あぁ……んっ……ふぅ……あっ……ふはぁ……」
 悩ましい声の高まりに合わせたかのように、陰部を弄ぶ指先がしっとりと濡れてくる。どうやらルイズの身体はかなり敏感らしい。まだ淫蜜は白く濁っても、粘りを増してもいないが、この分なら予想以上に早く肉欲の虜に出来そうだ。俺は気を良くしてルイズの鼻に亀頭を擦り付け、その周囲に先走り汁を直接塗り込み始めた。もちろん、秘所を嬲る指はそのままだ。
「ほら、覚えろ。いずれはこれで犯してやるからな。その前にチンポの臭いを覚えとけ」
「んっ……あっ……んんっ……ああっ……はうっ……ふあっ……んくっ……」
「お前の貧弱な身体の隅々までこの臭いをつけて、俺のチンポなしじゃ生きられないようにしてやる。おら、覚えろ。チンポの臭いを覚えるんだよ」
「んあっ……くふっ……ああっ……はぁん……ひうっ……ふはあっ……んくあああっ!」
 ルイズの脚が宙に上がって爪先がピンと引き攣るのと同時に、俺はその全身へと再び精液を放ってやった。
   ★★★
[2010年09月30日] カテゴリ:【SS】零の使淫魔 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

桃汁

Author:桃汁

【ランス推しキャラ第1位】



【当所開設日】
・2013/09/29
・DTIブログ終了により移設
・旧開設日2010/09/22

【当所内容】
・BBSPINKエロパロ板投下済
 拙作二次創作SS改訂版
・拙作一次創作SS
・拙作二次創作SS
・その他

【二次創作SS注意事項】
・キャラ改変注意
・陵辱注意

【その他注意事項】
・ブログタイトルに偽り有
・TBは受け付けておりません

 悪しからず御了承願います

 各種の御連絡は【御意見箱】

検索フォーム
QRコード
QR