2ntブログ

改訂二万枚る

誠に申し訳ありませんが、18歳未満の方は閲覧を御遠慮下さい
改訂二万枚る TOP  >  【SS】零の使淫魔 >  零の使淫魔 番外編『人型使い魔競技大会』

零の使淫魔 番外編『人型使い魔競技大会』

零の使淫魔・番外編『人型使い魔競技大会』
   ★★★
 その日、俺はルイズと一緒に『人型使い魔競技大会』の会場へと来ていた。俺は出場を拒否したのだが、貴族のステータスに関わる重要な催事であるらしく、結局は押し切られてしまったのだ。本音を言えばうんざりだが、人型の使い魔が他にもいるのを見てみたかったということもある。そして出る以上はルイズの使い魔として役に立ってやるしかない。良い結果でも出せれば、後で見返りを求めることが出来るかもしれない。
 ルールは簡単で、人型の使い魔四人がステージ上に設置された卓上ゲームで競い合うというもの。事前に係員に申告すれば、使い魔の代わりに主人が卓に付いてもいいらしい。この卓上ゲームは各国に統一のルールで浸透しているらしく、聞いたところによると、元の世界の麻雀に酷似しているようだ。麻雀なら俺でもできる。後は成り行き任せとしよう。
 会場に入って受付を済ませると、俺とルイズは係員に名札を手渡された。参加許可証を兼ねているので出場前に胸に付けろという。同時に渡された対戦表を確認すると、俺は初回から出番らしい。まあ、待たされ続けるよりは気が楽でいい。
 その後、指定された控え室へ行って競技のルールを確認していると、先刻とは別の係員がやってきた。全身を西洋風の鎧で固めており、名前はアルというらしい。間もなく開始時間とのことで、アルは俺たちをステージの裏へと促した。再び名札を付けるようにも言われ、俺とルイズは指示に従った。
 そして一回戦。毎回、四組が客席に向かって名乗りを上げてから競技が始まるとのことで、俺たちはステージの後方に立った。目の前に広がる客席は満杯のようだ。立ち見客の姿もちらほら見える。
「それでは、第二十八回人型使い魔競技大会を始めます!」
 満員の会場にアナウンスの声が響く。どこか聞き覚えのある声だ。隣のルイズも同様の感想を抱いたらしく、首を傾げて司会者席を見つめている。
「司会はあたし、パンドラ所属の筑紫澪、アシスタントはモモンガの桃太郎、そして解説はこちら、マスク・ザ・マネーこと――」
 黒ワンピースを着たパイナップル頭の少女が、小動物を肩に乗せたまま傍らのツインテール少女を掌で示す。
「うっさい! バラすな! バーカバーカ! ん、こほん、三千院ナギである」
 紹介された少女が偉そうに言った。なかなかプライドが高そうだ、やはり貴族だろうか。この少女の声にも聞き覚えがある。と言うか、どちらもルイズそっくりの声だ。
 俺とルイズの困惑を知らず、澪のアナウンスによって来賓客が紹介されていく。その中にはアンリエッタの姿もあった。
「では、第一回戦を始めます! 出場者の方は、ステージの前へ」
 澪の指示に従って俺とルイズは歩を進め、マイクの前に立った。ルイズが小さく咳払いをして、マイクに口を近付ける。
「私はトリステイン王国、公爵家のルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。横にいるのは使い魔の――」
「妾はロバ・アル・カリイエの果て、コスモス荘のエーデルワイスぞよ! 使い魔はこの粘土じゃ!」
 ルイズの名乗りの途中、ドレスを着たふわふわ髪の少女が客席からステージに上がり、マイクを奪って言い放った。その手の中には歪な形の粘土が握られている。どこから見ても人型に見えない。それ以前に、小さ過ぎんだろ、それ。
 ふと思い付いて当人を見ると、胸元には名札がなく、出場者ではないようだ。忽ち数人の警備員に取り押さえられ、ステージの裏へと引き摺られていく。
「退場など認めぬ。ちょ、止めい、コーチぃ、助けてぇ!」
 一方のルイズはといえば、普通なら名乗りを邪魔されて怒りそうなものだが、この間、唖然として立ち尽くしたままだ。まあ、仕方ないだろう。何故なら、この少女もルイズそっくりの声だったのだから。
   ★★★
 決勝戦。ここに来るまでに俺は気力も体力も使い果たしていた。使い魔やその主人と卓上ゲームで争い合い、時には殴られ、時には脇に控えていた主人や使い魔が乱入してきたりするのだ。ナース服を着た幼女だの、十二歳の押し掛け幼な妻だの、元気でやんちゃなチビメイドだの、疲れるのも当たり前だ。ついでに言えば全員がルイズに似た声の上に華奢な身体つきで、まるでご主人様本人を相手にしているようで、やり難いことこの上なかった。初回から疲れ果ててしまい、他の参加者を確認する気も起こらなかった程だ。
「いいわ、最後は私がやるから。アンタは休んでなさい」
 ここまでの戦績に満足しているのか、不意にルイズがそう言ってくれた。俺は肩で息をしながら黙って頷いた。
 やがてルイズの何度目かの名乗りが終わり、次にマイクの前に立ったのはアイドル歌手のような衣装を着た少女だった。隣に幼女を連れている。
「私、ロバ・アル・カリイエにある神楽坂女学院の大海恵です。お仕事で歌を唄ってます。こっちは使い魔のティオです。よろしくお願いします」
 言って、少女と幼女が客席にぺこりと頭を下げた。二人ともなかなか素直そうだ。何より少女の声は明らかにルイズとは違うので、見ていて変な気分にならなくて済む。俺は安堵の溜息を吐いた。が、次の出場者の名乗りを聞いて、再度暗い気持ちになった。何かおかしいだろ、これ?
「私はロバ・アル・カリイエ、天道宮のフレイムヘイズ、シャナ。これは使い魔、零時迷子の悠二。こっちは付き添いの一美」
 愛想なく自己紹介をする黒髪少女の声は、またしてもルイズそっくりだ。その隣には同年輩の少年と少女。一見どちらも大人しそうだが、共に腹に一物抱えているようにも見える。そう思いながらも悠二を見ていると、不思議と親近感が沸いてくる。多分、シャナというご主人様に、俺と同じような扱いを受けているに違いない。
 更に、その次。
「私はロバ・アル・カリイエの大橋高校、逢坂大河。この犬は竜児」
 これまたルイズそっくりな声で、容姿もどこか似ている少女が名乗った。シャナ同様、全く愛想がない。但し、シャナは無愛想だが、大河はもの凄く不機嫌そうだ。やはり貴族で魔法使いなのか、杖の代わりに木刀を持ってもいる。武闘派のメイジなのかもしれない。近付かないでおこう。
 と、大河の木刀を間近に見たからなのか、シャナが身に着けていたマントの中から大太刀を取り出した。同時に黒髪が赤く染まり、火の粉を吹き始める。どこに入ってたんだよ、それ? とか、お前の髪、燃えてんぞ? とか言ったら殺されそうなので、取り敢えずは見なかったことにしようと思う。
 押し黙ったまま行く宛てなく視線をさ迷わせていると、客席の最前列に座っているシエスタに気付いた。先刻までは居なかったようにも思うが、見落としていたのかもしれない。俺はシエスタに向かって小さく手を振った。シエスタもそんな俺を見て手を振り、声を掛けてきた。
「頑張って下さ~い!」
 その刹那、ふて腐れた顔をしてシャナを睨みつけていた大河が、満面の笑みを浮かべ、ステージから客席に飛び降りてシエスタに抱きついた。動物のような身のこなしだ。
「みのり~ん」
「え? ええっ? な、なんですか?」
 怯えた声でシエスタが問い掛けるが、大河は返事もせず、甘えるように頭をゴシゴシとその身体に摺り付けている。
「みのりんみのりんみのり~ん」
 大河を止めさせようと、彼女の使い魔の竜児を探してみるが、ステージ上に見当たらない。裏に回ってみると、なんと竜児は一人で床の清掃をしていた。その恍惚とした横顔を見て、俺は黙って踵を返した。シエスタには申し訳ないが、暫く放置しておこう。
   ★★★
 やがてと言うか、やっとと言うか、混沌の時を経て、決勝戦が始まった。ステージ中央に設置された卓に着いたのはルイズ、ティオ、シャナ、大河の四人だ。俺と悠二は並んで椅子に座ってそれを見守り、竜児はステージ裏から帰らず、恵はどういうつもりなのか、会場の音響チェックをしている。歌手らしいので、競技の最中に歌でも披露するのだろうか?
 姿が見えないことに気付き、周囲を見回してみると、シャナが連れていた一美は来賓席の前でアンリエッタと話し込んでいた。
「どのように相手から奪ったらよいのかしら」
「なるべく外面を良くしておいてですね。隙を見て強引に迫るんです。女の武器を使って」
 漏れ聞こえてくる内容によると、どうも碌な話をしていないようだ。そういえば、この二人も声が似ている。とは言え、これ以上聞いていても仕方がない。俺は耳を澄ますのを止め、卓の方へと視線を戻した。後から判ったことなのだが、ティオもまたルイズに似た声の持ち主だった。試しに目を閉じてみると、どれが誰の声なのか聞き分けがつかない。
「お前なんかに、絶対に負けない!」
「どんとこいよ!」
「バカにしないで! 私だってたまには上手くいくわよ!」
「……なにジロジロみてんの? 畳むよ?」
「うぉらっ!」
「んなーっ! もうやだあっ!」
「ちくしょー!」
「アンタ、そっちの子の首絞めてんじゃないわよ」
「どっちが勝っても優しい王様よ」
「トーチ!」
「リーチでしょ」
「うるさいうるさいうるさい!」
「ばかばかばかばか、ばかばっかりだお前らは――っ!」
 全部ルイズの声に聞こえる。というか、本当にこれは『人型使い魔競技大会』なのだろうか? 卓についている四人を見ても、その前の対戦者を思い返しても、貧乳品評会としか思えないのだが……。
「みんな――っ! 今日は来てくれてありがと――っ!」
 準備が出来たのか、恵がマイクを手に会場に向かって叫んだ。
「じゃあ、いきまーす! プリキュア5、フル・スロットルGOGO!」
 叫びに合わせて会場に音楽が流れ始め、恵が歌い始めた途端、客席のあちこちから「ババァ結婚してくれ!」と怒号が飛び交い始めた。応援なのか野次なのか判断がつかない。
 そうしている内に、横の悠二が俺に寄り掛かってきた。これまでの対戦で疲れているのか、深く眠ってしまっているようだ。しかし、男に凭れ掛かられて喜ぶ俺ではない。元の位置に押し戻してやろうと悠二の肩に手を伸ばしたところで、思いがけなく来賓席のアンリエッタと目が合った。アンリエッタは何かを否定するように首を横に振っている。が、俺には意味が判らない。その真意を尋ねようと口を開きかけた瞬間、アンリエッタが大声で叫んだ。
「ホモが嫌いな女子なんていません!」
(終わり)

以下参考資料

●釘宮理恵
ゼロの使い魔(ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール)
鋼の錬金術師(アルフォンス・エルリック)全身を西洋風の鎧で固めた係員
HAND MAID メイ(サイバドール・レナ)ナース服を着た幼女
りぜるまいん(岩城りぜる)十二歳の押し掛け幼な妻
超重神グラヴィオン(ブリギッタ)元気でやんちゃなチビメイド
住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー(梅木瑠璃/エーデルワイス)
ハヤテのごとく!(三千院ナギ)
絶対可憐チルドレン(澪、桃太郎、三千院ナギ)
金色のガッシュベル!!(ティオ)
灼眼のシャナ(シャナ)
とらドラ!(逢坂大河)

●堀江由衣
ゼロの使い魔(シエスタ)
とらドラ!(櫛枝実乃梨)

●川澄綾子
ゼロの使い魔(アンリエッタ・ド・トリステイン)
灼眼のシャナ(吉田一美)
げんしけん(大野加奈子)

●前田愛
金色のガッシュベル!!(大海恵)
Yes!プリキュア5(水無月かれん / キュアアクア)

●日野聡
ゼロの使い魔(平賀才人)
灼眼のシャナ(坂井悠二)
[2010年10月15日] カテゴリ:【SS】零の使淫魔 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

桃汁

Author:桃汁

【ランス推しキャラ第1位】



【当所開設日】
・2013/09/29
・DTIブログ終了により移設
・旧開設日2010/09/22

【当所内容】
・BBSPINKエロパロ板投下済
 拙作二次創作SS改訂版
・拙作一次創作SS
・拙作二次創作SS
・その他

【二次創作SS注意事項】
・キャラ改変注意
・陵辱注意

【その他注意事項】
・ブログタイトルに偽り有
・TBは受け付けておりません

 悪しからず御了承願います

 各種の御連絡は【御意見箱】

検索フォーム
QRコード
QR